
2025/03/19
コラム
ITコラム ー 業務アプリケーション・IT投資を成功させるための基本ステップ プロローグ
業務アプリケーションIT投資を成功させるための基本ステップ
―業務アプリケーションの取り組み体制と投資プロセスに鍵がある―
IT投資を成功させる取り組みを5つのステップでご紹介させて頂く全6回のITコラム。
日々「IT投資管理」「業務プロセス標準化」「業務アプリの断捨離」などを意識する方だけでなく、技術職や営業職に関わる方にも幅広く知識の一つして頂ければ幸いです。
今回はその1回目になります。
コラム著者紹介
菅宮徳也

大手電気メーカでIT関連の経験を積み2024年7月よりベストスキップ株式会社にてシニアITコンサルタントとして従事。
✓ 東南アジア向けメインフレーム営業・事業企画
✓ 金融機関向けITシステム活用研究・コンサルティング
✓ 金融機関向けシステムインテグレーション事業企画
✓ 米国ITシェアードサービス拠点設立・運営
✓ グループIT・セキュリティガバナンス
✓ グループ標準アプリ開発・運用
✓ 鉄道車両・信号システム事業部門(本社は欧州)の国内CIO
最近私がコンサルティングサービスを提供したあるCIOが抱えている悩みの例を箇条書きにしてみました。
・ 個別の業務領域の困りごとの解決のために業務アプリ投資案件が毎年積み上がっている。
・ 投資効果は往々にして一人当たり30分程度の工数削減など小粒。しかも業績への効果もあいまいにもかかわらずITシステムの構築が進んでしまっている。
・ やっと案件の予算化ができても枠取りに終わり業務側が開発要件を出さずに終わるものも散見される。
・ 本来プロセス上流から解決すべき課題であっても特定の業務部門に限定的な課題を解決しようとするため対策はパッチワーク化。
・ 業務の仔細にこだわり過ぎるあまりシステムが複雑化。複雑なシステムは構築したベンダーにロックイン
・ 会社全体を見渡して優先順位が議論されずアプリはサイロ化がさらに進む。
・ 投資の効果を刈り取れているのかよくわからず結果的に投資成果の達成責任がうやむやに。
・ IT組織の人員リソースは考慮されず恒常的に工数不足、遅延も発生。
・ 個別最適なシステム間を無理やり連携したインターフェースの開発・運用が重くIT組織は常にリソース不足。
・ IT組織が頑張って開発した結果システム数が増大しIT組織は金食い虫と言われ続ける。
このような悩みは多かれ少なかれどのIT組織にとって当てはまるのではないかと感じています。
こうした状況を放置していると次第にサイロ化した数多くのアプリを抱えてしまい維持・運用のコストがIT支出を増加させていてしまいかねません。この状況は恒常的にIT支出の圧縮を経営から要求されているCIOにとって本来必要なIT投資を断念させざるを得ないという事態を招きかねないといえます。IT支出が大きすぎるゆえに、現状のビジネスプロセスやモデルを改善するために必要なIT投資が十分にできないという不健全な状況です。
これを改善するためには投資管理体制を構築しIT投資管理プロセスを回すことが重要になってきます。そうすることによってIT支出のコントロールと並行して効果が見込めるIT投資の両立が可能となってきます。具体的なアクションとしては、以下5つのステップを順に進んでいくことになります。
ステップ1 : IT支出状況を正しく把握する(課題を知る)
ステップ2 : 改善が必要な部分を特定し目標を作る(目標を定める)
ステップ3 : IT投資管理体制とプロセスを作る(目標達成に向けた体制とプロセスを作る)
ステップ4 : 投資判断に耐える投資計画を策定する(優先順位、投資効果、断捨離が決めて)
ステップ5 : ステークホルダーを味方につけ運用する(継続的な運用と改善サイクルを回す)
この5つのステップをご覧になると「こんなことは当たりまえではないか」と感じる方もいらっしゃると思います。しかしながらこの当たり前を「しっかり行うこと」は実は簡単なことではないかもしれません。
なぜなら業務部門や経営幹部をCIOが巻き込んで部門横断的な体制を構築して投資管理プロセスを回す必要があるからです。
この体制においてIT組織の責任は業務を実現するアプリを提供することであり、言葉を換えれば「手段」の提供です。一方で投資目的である効果は業務部門が責任をもってコミットして刈り取ることが要求されます。
つまりIT組織はお金を使うけれどIT組織以外の業務部門に効果を達成してもらうわけでここに構造的な難しさが潜んでいます。
本稿のテーマである業務アプリの投資に関してはIT組織と業務部門が二人三脚となってIT投資管理体制をつくって役割分担をしつつ5つのステップを踏んでいくことが成功のカギになってきます。
これからシリーズで5つのステップの詳細についてコラムをお届けしたいと思います。